ジャパンノーザンライツ

2022.05.16

アルペンスキーの最も重要な関節とよくある誤解

こんにちは!

JAPAN NORTHERN LIGHTSの谷です。
GWのトレーニングも終わり、いよいよオフシーズンのトレーニングが本格的にスタートしました!

 

オフシーズンの過ごし方で冬の結果が決まる。
すでにシーズンに向けた活動は始まっていますよ。

冬に向けた準備をしっかりと行い、身体を進化させてください。
JNLでも夏のトレーニングを開催しています。

 

 

 

 

さて今回の内容ですが、

『アルペンスキーの最も重要な関節とよくある誤解』

というテーマで記事を書かせて頂きます。

 

アルペンスキーでは一番膝を多く使うイメージがありますよね。

果たして1番重要な関節は膝なのでしょうか。

人体には多くの関節があり、筋肉と関節を動かし身体全体を動かしています。

当たり前ですが、関節はそれぞれの箇所によって曲がり方や使用用途が変わってきます。

関節の動きを知る。

そしてその役割や構造を知る事でアルペンスキーへの理解は一気に深まりますので、そこを掘り下げて解説させて頂きます。

 

ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

 

 

 

 

 

<関節自由度>


まずは、関節には最初から可動域に差があるということを覚えておいてください。

この可動域の差を「関節自由度」と言います。
自由度が高い方があらゆる方向に動きます。

ここが理解できるとアルペンスキーを理解することに一気に近づきます。

 

最も動く関節は3度関節といいます。
股関節は3度関節で前後、左右、回旋が出来る関節になります。
最も関節自由度が高く可動域がとても高いです。
運動中は力をあらゆる方向から受け止めたり、あらゆる方向に力を発揮したり、バランスを取る際には重要な関節になります。

 

逆に、最も自由度が低い関節は1度関節といいます。
膝は前後の動きしかできません。
足を身体に近づける事しかできないのです。

つまり曲げ伸ばしの動きしかできないようになっています。
一方向からの力を受け止めたり、床を支持する事には対応できますが、あらゆる方向からの力には対応できません。

 

関節には1~3度までの自由度があり身体を効率的に動かすために身体に規則的に配置されています。

 

この関節の自由度の違いは関節ごとにそれぞれ仕事、役割がある事を指しています。
そして自由度の違いにより仕事内容が異なってくることを指しています。
3度関節は最も仕事量が多く、1度関節は最も仕事量が少ないとも言えます。
そして3度関節は難しい仕事をこなす事が出来ますが、1度関節は簡単な仕事しかできません。

 

この関節の自由度はアルペンスキーの動きに大きく関わります。

 

それぞれの関節の役割と特徴を知る事で運動の考え方が変わってきます。
また進化した現代のスキーマテリアルには何が必要かわかってくるのです。

 

 

 

<アルペンスキーと関節>


さて、関節の知識を得たところでアルペンスキーはどんなスポーツなのかを考えていきましょう。

スタートからゴールまで、左右に設定された旗門をいかにロスなくクリアしゴールするか。それが勝負の分かれ目になってきます。

車と違いアクセルがついてないので落下のスピードを加速させることは落下の力を大きくする以外ありません。
つまりいかにブレーキせずにゴールできるかがカギになります。

 

ではブレーキとは何か。

よく誤解されている部分なのですが、
ターン自体がブレーキング動作になります。

ターンはエッジを立てる事で部分的にブレーキをかける事でできた物体移動スピードの差によって曲がっています。
簡単に言うと自転車で坂道を猛スピードで下っているときにいきなりハンドルを切るのと一緒です。
後輪が進んでいた方向にドリフトしていくのがターンになります。
実際はエッジがついているのでドリフトしている部分がカービングになっています。
なのでターンは正確にブレーキをかける事で曲がる事が可能になっています。

 

関節の話に戻りますが、
アルペンスキーの場合は膝関節でなく、股関節を主に使うのが良いと考えています。
理由は2つです。

 

①股関節はあらゆる方向からの力に対応できる。
ターンきっかけでスキートップにブレーキがかかります。
その後急激にスキーは曲がってくるので圧を受け止める準備が必要になります。
ターンは雪質、滑走スピード、斜度によって返ってくる方向は一定ではありません。
なのであらゆる方向からの力に対応するために関節自由度が高い股関節で圧を受け止めれる姿勢を作っておけば効率良くスキーの圧を抜き、柔らかく次のターンにつないでいくことが可能になります。
また圧を受け止め、抜く際に股関節が使えていれば、その他の上半身や脚はブレる事がなくスキーのブレをなくし正確なスキー操作が可能になってきます。

 

②雪面への圧を正確に伝える事が出来る。
股関節は受けやバランスを取る他に体幹を使った強い力を出す事が出来ます。
身体の中でも筋出力が最も大きい大殿筋とつながっており、膝の力に比べて大きな力を発揮する事が可能になります。
また重心である骨盤は重さの中心であるため、股関節をより働きやすくさせてくれます。
重さは安定性につながり、その中で力を発揮できるので、より強い力を作り出す事が出来ます。

膝はあくまで股関節の補助的な役割で使う形になります。
雪面を支持したり膝を固める役割以外の動きが膝で行われた場合負担が大きくなりすぎて故障につながってしまう可能性もあります。

股関節はあらゆるスポーツでも重要とされています。
夏の間に見直したい箇所です。

 

 

 

 

 

<まとめ>


いかがでしたでしょうか。
アルペンスキーで股関節を使う重要性が少し理解いただけたかなと思います。
実際滑走中に股関節は意識は出来ても扱うことはとても難しいです。
実は股関節は胸椎、背筋、殿筋、膝のポジション、足首の角度等の条件がそろっていないと扱う事が出来ません。
また神経的にも敏感な足先や手先に対して、体幹周辺は鈍感で扱うのが難しい部分もあります。
トップアスリートは鈍感な部分でも筋肉に指令を送り自在に動かす事が出来ます。
いわゆる天才です。

 

僕らチームの夏トレーニングの取り組みは、この指令が通りにくい筋肉に対して筋肉側から刺激をいれ、無理やり動かそうとします。
つまり天才の体を人為的に作り出そうとするトレーニングなのです。

 

「夏に上手くなる」
身体が変わればスキーも変わります。
冬の準備をしっかりしていきましょう。

 

ありがとうございました。
引き続きJNLをよろしくお願い致します。